さつまいも畑の隣にある栗の木の幹が一部黒くなっていたので、
近づいて見てみると、
何やら虫の卵のような黒いつぶつぶがびっしり付いていました。

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クリオオアブラムシとは

調べてみると、「クリオオアブラムシ」というクリやクヌギなどに集まる大型のアブラムシの卵のようです。
成虫は体長5mmほどで、一見アリのように見えます。木の汁を吸って木を弱らせたり、すす病の原因にもなるそうです。

特徴は以下の通りです:

  • 体長は1-2mmほどで、体色は黒くて光沢があるのが特徴です。
  • 主に栗の新芽や葉、樹皮などに集団で寄生します。吸汁により、栗の成長を妨げたり、葉の変色や落葉を引き起こします。
  • 春から秋にかけて活動し、秋に翅を持つ有翅虫が現れて他の木に移動します。
  • 寄生を防ぐには、薬剤散布や天敵を利用した生物的防除が効果的です。
  • 日本では主要な栗の害虫の一つとして知られています。

以上のように、クリオオアブラムシは栗の木に大きな被害を及ぼすアブラムシの一種です。農家にとっては重要な防除対象の一つです。

卵の駆除方法

卵のうちならヘラか何かでこそぎ取るか、潰します。
4月中旬ころ孵化するので、その前に行いましょう。
孵化してしまうと下の写真のように、成虫が木全体に広がってしまいます。

潰す以外にクリオオアブラムシの卵の駆除方法には以下のようなものがあります。

  • 冬季に栗の木の剪定を行う。クリオオアブラムシの卵は主に樹皮の割れ目等に産み付けられるため、適切な剪定により卵を取り除くことができる。
  • 石灰硫黄合剤を噴霧する。石灰硫黄合剤には殺虫効果があり、樹皮の割れ目等に付着した卵を殺すことができる。
  • 防虫ネットを張る。防虫ネットにより成虫の樹皮への産卵を防ぐことができる。
  • 天敵であるテントウムシの幼虫を放飼する。テントウムシの幼虫はクリオオアブラムシの卵を食べる。

これらの方法を組み合わせることでより確実に駆除できる。天敵の利用も有効な生物的防除法の一つです。

天敵

・テントウムシの幼虫・成虫
・ヒラタアブの幼虫

4/30 クリオオアブラムシが卵からかえっていました。

手の届く範囲の卵はかえる前に潰しておきましたが、届かなかったところの卵がかえってしまいました。

ピントが合っていないですが、枝にクリオオアブラムシの成虫がたくさんいます。
卵からかえる前に全滅させておかないと木全体に分散してしまうのでえらいことになります。

害虫対策の参考になる文献を見て行きましょう

クリ 〔 果樹類>落葉果樹>くり 〕① 防除のポイント・注意事項 / 福井県

クリ 〔 果樹類>落葉果樹>くり 〕① 防除のポイント・注意事項 / 福井県(pdfファイル)

クリの病害虫の防除のポイントと注意事項を要約すると、以下のようになります。

病害

  • 胴枯病:病斑を見つけ次第、病患部を削り取り、トップジンMペーストを塗布する。
  • 実炭疽病:果実肥大期に、イガに十分薬剤がかかるように、10日間隔で2~3回散布する。

害虫

  • クスサン:5月中下旬に、若齢期にエルサン乳剤、フェニックスフロアブルを使用する。
  • カミキリムシ類:6月下旬~8月上旬に、トラサイドA乳剤を樹幹部に十分量散布する。
  • コウモリガ:4~6月に、ガットサイドSを地際部から約1.5m~2mの高さまでの主幹及び主枝に塗布又は散布する。
  • クリタマバチ:発芽直前に、トラサイドA乳剤を樹冠全体に散布する。成虫活動期(7月上旬~中旬)には、羽化脱出期を見計らって薬剤を散布する。
  • アブラムシ類:生育期に、主なアブラムシ種として、クリイガアブラムシ・クリオオアブラムシがある。クリオオアブラムシは、ふ化直後に薬剤散布する。
  • モモノゴマダラノメイガ:8月上旬~9月中旬に、早生種は8月上旬~中旬、中生種は8月中旬~下旬、晩生種は8月下旬~9月上旬に重点を置き薬剤を散布する。
  • ネスジキノカワガ:6月下旬~7月上旬に、第2世代成虫による被害がもっとも多いので、第2世代成虫の産卵最盛期(6月下旬~7月上旬)に薬剤を毬果に行き渡るように散布する。
  • クリシギゾウムシ:8月下旬~9月中旬に、成虫が羽化する時期に薬剤を散布する。
  • クリミガ:9月に、老熟幼虫で越冬し、8~9月の蛹期を経て、9月から成虫が羽化し産卵するため、9月下旬以降収穫の晩生品種で被害が多い。

注意事項

  • 樹幹処理に用いるトラサイドA乳剤およびガットサイドSはMEPの成分を含む薬剤なので、いずれかの薬剤で1回のみの使用に限られることに注意する。
  • いずれもMEPを含むスミチオン水和剤40およびパーマチオン水和剤は、トラサイドA乳剤およびガットサイドSの樹幹処理と合わせて使用回数が4回以内であることに注意する。
  • スミチオン水和剤40は、極早生品種において、樹勢が弱い場合または5月までの若葉時期に用いた場合、葉に黒褐点を生じたり、著しい場合は落葉したりするので、散布時期に注意する。
  • トラサイドA乳剤は使用時期が遅れると新芽・新葉に薬害を生じる恐れがあるので注意する。

また、農薬を使用する場合は、以下に注意しましょう。

  • 使用方法や使用回数を守って、安全に作業を行う。
  • 収穫時期を守り、食害の恐れのある農薬は使用しない。
  • 残留農薬の基準値を守る。
  • 使用後に空容器を適切に処分する。

クリの病害虫の防除には、適切な時期と方法で農薬を散布することが重要です。また、農薬を使用する際には、安全に作業を行うためにも、上記の注意事項を守るようにしましょう。

クリ 防除法 / 東京産業労働局

クリ 防除法 / 東京産業労働局(pdfファイル)

クリの病害虫の防除について要約

  • 病害虫の発生を予防するためには、密植や肥切れなどの栽培管理に注意し、枯死枝や剪定枝を放置しないことが重要です。
  • 病害虫が発生した場合は、適切な時期と方法で農薬を散布します。

具体的には、以下のようになります。

病害

  • 胴枯病:枯死枝や病患部を削り取り、トップジンMペーストまたはベフラン塗布剤3を塗って保護する。
  • 実炭疽病:イガに十分に薬剤がかかるように、2~3回散布する。
  • 疫病:草生栽培とし、せん孔性害虫を防除する。
  • 黒色実腐病:胴枯病、実炭疽病に準じた耕種的防除を行う。

害虫

  • クリイガアブラムシ:イガの内部まで十分散布する。
  • モモノゴマダラノメイガ:裂果前に散布する。
  • キクイムシ類:産卵初期に樹幹に薬剤を塗布または散布する。
  • カミキリムシ類:裂果前に樹幹に薬剤を散布する。
  • クリシギゾウムシ:裂果前に散布する。
  • クリタマバチ:羽化脱出期に散布する。

また、以下の点に注意が必要です。

  • 薬剤の使用方法や使用回数を守り、安全に作業を行う。
  • 収穫時期を守り、食害の恐れのある農薬は使用しない。
  • 残留農薬の基準値を守る。
  • 使用後に空容器を適切に処分する。

クリの病害虫の防除には、適切な時期と方法で農薬を散布することが重要です。また、農薬を使用する際には、安全に作業を行うためにも、上記の注意事項を守るようにしましょう。

クリの栽培・防除暦(平成30年版)/ JAあいら

クリの栽培・防除暦(平成30年版)/ JAあいら(pdfファイル)

クリの栽培・防除暦(平成30年版)は、クリの栽培において、月ごとの重点作業と病害虫の防除時期をまとめたものです。

重点作業

  • 整枝・せん定:休眠期に、病害虫の潜伏や繁殖を防ぐために、罹病枝や交差枝、徒長枝などを除去する。
  • 春肥:2月上旬に、基肥として化成肥料を施す。
  • 夏肥:6月上旬に、追肥として化成肥料を施す。
  • 秋肥:9月下旬に、追肥として化成肥料を施す。
  • 収穫:10月下旬から収穫を始める。

病害虫の防除

  • 胴枯病:休眠期に、罹病枝を除去する。
  • カイガラムシ類:春肥の散布時に、石灰硫黄合剤を散布する。
  • コウモリガ:雌花分化期に、サッチューコートSセットを樹幹部に散布する。
  • キクイムシ類:新梢伸長期に、樹幹部に石灰硫黄合剤を散布する。
  • クリタマバチ:夏肥の散布時に、マブリック水和剤20を散布する。
  • クリイガアブラムシ:雄花分化期に、アディオン乳剤を散布する。
  • 実炭疽病:果実肥大期に、ベンレート水和剤を散布する。

注意事項

  • 農薬の使用は、使用方法や使用回数を守って行うこと。
  • 収穫はこまめに行い、落ちた果実も早めに収穫すること。

まとめ

クリの栽培・防除暦は、クリの栽培において、月ごとの重点作業と病害虫の防除時期を把握するために役立つものです。農薬を使用する場合は、使用方法や使用回数を守って、安全に作業を行うようにしましょう。