昨年はネット、テグスなどを使って鳥獣害対策をしましたが、じゃがいも、さつまいも、トマト、キュウリ、ゴーヤ、生姜が被害にあいました。
被害にあった後、有害鳥獣を特定できた作物はその後、対策を施すことで被害を減らすことができましたが、トマト、キュウリ、ゴーヤについては鳥なのか小動物なのかもわからないままシーズンが終わってしまいました。この3品目については10%にも満たない収穫量だったと思います。
そこで今年は「本当に正しい鳥獣害対策Q&A 江口祐輔著」を参考に根本から獣害対策を見直したいと思います。
この本の冒頭には被害を減らすには順序が大事だと書いてあります。
1.まずは勉強
2.野生動物が嫌がる環境作り
3.野生動物の行動を考慮した柵の設置
4.加害個体を対象にした適正な捕獲
引用 本当に正しい鳥獣害対策Q&A 江口祐輔著
以下 引用は全て同書籍より。
本当に正しい鳥獣害対策Q&A: 被害の原因は「間違った知識」にあった!著者江口祐輔
野生鳥獣害に関する本です。この本では、イノシシ、ニホンザル、ハクビシンなどの野生動物の生態や行動、被害対策の方法や注意点などを、写真や図を交えて分かりやすく説明しています。また、農家や農業関係者から寄せられた質問にも答えており、鳥獣害の実態や対策のポイントがよくわかります。この本は、鳥獣害に悩む人や、野生動物に興味のある人におすすめの一冊です。
畑をやっていると、ご近所さんから鳥獣に関する言説をよく耳にします(蛍光ピンクのテープを嫌がる。冬、鹿は融雪剤を舐めに里へやってくる。など)が、本当かどうか確かめもしないで信じてしまったりします。
これを「都市伝説」ならぬ「農村伝説」と作者は表現しています。
農村伝説に惑わされず正しい知識を得て対策を施すのが大事だということです。
野生動物が嫌がる環境になっているか?
動物が嫌がる環境とはどんな環境でしょうか?
野生動物が繁栄するのに好都合な環境の真反対の環境と言いかえることもできます。
野生動物が繁栄するのに好都合な環境とは
■人目につかない。
・畑の周辺に耕作放棄地などの茂みがある。
…野生動物にとって外から見えにくいため人間に見つかりにくく、逆に周囲の人間をよく観察できるということです。
■1年中おいしい食べ物が確実に大量に食べられる。(畑は動物にとって最高の餌場。)
・野菜の残渣が畑の周りに捨ててある。
・収穫されなかった野菜がそのまま放置してある。
・畑周辺に収穫されなくなった果樹がある。
・作物が柵の外からよく見える。
野生動物の行動を考慮した柵の設置
まず足跡、作物に残った食痕やフン、侵入経路からなどから動物を特定します。
足跡、食痕はだんだん不鮮明になっていくので写真を撮っておくといいそうです。
動物を特定したら、その動物に適した柵を設置します。
2/8 検証してみました。
鳥獣にとって現在の畑はどういう状況なのか検証しました。
・畑周辺に休耕地もしくは耕作放棄地が点在している。(草刈りは年1,2回しか行われていない)
・村の人口が減ってきて空き家が多く、日中でも人気が無い。
・畑のすぐとなりに栗の木、梅の木が6,7本収穫されずに放置されている。
・少し離れた場所に孟宗竹の竹林がある。
・同じ畑で何度も被害にあっている。(動物が美味しい食べ物がたくさんあることを知っている。)
・防護柵ネットの高さが足りていない。下部に小動物が入れそうな隙間がある。
畑の隣、一段高いところには収穫されなくなった梅の木が6,7本あります。
梅畑の下は昨年秋まで草刈りをしなかったので動物の隠れ場所になっていたようです。秋に草を刈って半分耕うんしました。
昨年春先にここに潜んでいた鹿がさつまいもの葉を食べていたのでしょう。
栗の木も長年剪定も収穫されずに放置されています。さつまいもを植えた畑のすぐとなりにあります。
白菜などを植えた畑の北側には栗の大木があります。昨年から収穫していますが、虫に食われた実をそのままにしておくと、それを狙って鳥や動物がやってくるわけですね。
しかも草ぼーぼーで、一段高くなっているので動物が潜むには好都合な場所になってしまっています。
3/23 鹿が入っているようです。
ネットの支柱が折れていたところがあったので、ここからジャンプして入ったようです。
教訓
・支柱はシカに押されても簡単には折れない強いものを使う。
・できれば支柱の根元にもう一本短い支柱を立て、結びつけておく。
3/29 防獣金網フェンス
昨年から始めた350平米の畑(畑C)にはいままでポリエチレンのアニマルフェンスネット(16mm目、高さ1m)を張っていましたが、鹿やその他の小動物の被害が減らないので、値は張りますが高さ1.2m、 25mm目の金網フェンスに変えることにしました。
鹿がジャンプして入らないよう支柱の位置は石垣から少し離しました。支柱の間隔は今まで通り4mとしました。
(写真:鹿の足跡)
支柱が折られたり、倒されている訳ではないですが、ご覧のように鹿に入られています。
支柱の最上部は紐を張っていますが、その上を乗り越えて入ってきているのでしょうか?
侵入経路が特定できないと対策が取りずらいですね。防犯カメラを設置してどのように侵入しているのか見てみたいものです。
ネットを外し、フェンスを取り付ける前に溝を掘って地面に隙間が開かないようにしておきます。
2022/6/15 網を破られました
サツマイモ栽培の方にも書きましたが、Aの畑で網の下のほうから侵入されているのに気づいて、下から入られないようトタン板も置いたのですが、また別の場所から入られてしまいました。
穴が開いて、ひもで補修したところを広げて入ってきたようです。
補修しただけではダメそうなので、残っていた金網フェンスで補強することにしました。
草刈をしたところ、草でネットが押し上げられて下が大きく空いているところが何か所もあったので、持ち上がらないようu字杭(Uピン)で固定しました。
シカは大きいから下からは入らないだろうと思い込んでいたので、ネットの下部分はあまり気を使っていなかったのですが、こういう隙間に頭を突っ込んでぐいぐい押せば穴が広がって入ってきてしまうのだと思います。
マルチはシカの足跡だらけ。植えたばかりのサツマイモの葉を食べられてしまいました。
ついでに隣の畑Bも見に行ったところ、こちらもシカに入られていました。
マルチがズタボロです。
ネット付近に足跡がありましたが、どこから入ったのかわかないので、とりあえずネットの下をUピンで補強しておきました。
教訓
・ネット際の草はきれいに刈っておく。(草が生えていると、ネットの破れなどが発見しにくい)
・侵入経路がわからないと対処が難しい。
・できればナイロンネットより金属ネットを使いたい。
7/7 じゃがいもをメチャクチャにされました。
畑Aです。またまたはいられてしまいました。
じゃがいもの畝が荒らされていました。
ネットの下をピンで止めておいたのですが、浮いていたところから侵入したようです。
らちが明かないので、1.2m幅の金網ネットを張ることにしました。
じゃがいもは茎だけ食べているようで、実は小さいですが収穫できました。
一方畑Bの方ですが、こちらはネットと紐の間から侵入したようです。(下の写真)
ネットを掛けておいた場所以外、ほとんどのさつまいもの苗を食べられてしまいました。鹿のために植えたようなものですね…
今回の教訓
・想像ですが、シカはネットの下の小さな隙間に頭を突っ込んで広げて入って来ているようなので、ネット下部の隙間はピンを打って浮かないようにしておく。
8/8 またもややられました。
前回食害されてから、少しずつですが葉が復活してきたサツマイモがまたやられてしまいました。
トウモロコシの一部を食べられてしまいました。
昨年よりひどい状況です。
8月初旬でこんな状態では収穫はできないかも知れません。
ネットの真ん中あたりの30cmくらいの穴から侵入したようです。おそらく子鹿ではないかと思われます。
ネットを2重にしておきました。
今回の教訓
・ネットのちょっとしたほころびでもシカは広げて入ってくる。
・シカはジャンプしてネットの上から入るものだと思っていたがネット下部や、小さなほころびから入ることが圧倒的に多い。