いちご栽培でいちごを美味しく食べられるのは言うまでもありませんが、毎年豊作を実現するのは意外と難しいものです。
いちごの実は1年のサイクルの中で、ほんの一時期しか収穫できません。そのため、豊作を望むなら周到な準備が欠かせません。
今回は、youtube動画で紹介されていたいちご栽培のプロ農家の方から、6月に行うべき重要な作業と豊作を手に入れるための極意を教えていただきました。
いちごの1年のサイクル
いちごには「一季なり性」と「四季なり性」の2種類があり、品種によって収穫時期が異なります。一般的な家庭菜園で育てられているのは主に一季なり性のものです。
一季なり性いちごの1年のサイクル
- 秋~春: 花芽分化期
- 早春~初夏: 開花と実がなる
- 夏: ランナー(地こそ這う枝)が出て子株(まごかぶ)ができる
- 秋: 再び花芽分化が始まる
一季なり性のいちごは、5月下旬から6月にかけて収穫が終了に近づきます。このタイミングが翌年の大豊作に向けた準備を始める大切な時期なのです。
来年の豊作に向けた6月の作業
収穫の終盤対策
5月下旬から気温が上がり、いちごの収穫ピークを迎えます。この時期に注意すべき点が2つあります。
- こまめな収穫を心がける
収穫を怠ると、すぐに灰色かび病に打撃される恐れがあります。実がある限り、1日2回は収穫作業を行いましょう。 - 適度な日陰と十分な水やりを行う
直射日光や干ばつに弱いいちごは、この時期の強い日差しと乾燥に衰弱しがちです。日陰や遮光の対策と、朝夕2回の潅水を心がけましょう。
ランナーからの苗つくり
新シーズンに向けて、5~6月にランナーから新しい苗を確保することが重要です。
- 実のよくついていた株のランナーを残す
ランナーの先に小さな芽(まごかぶ)ができるのを待ち、芽が3枚以上の葉を付けた状態で発根させます。 - ポットに植え付け、発根させる 7.5cm~9cmの植え付け用ポットに培養土を入れ、そこにランナーの芽の部分を植え、ランナーピンで固定します。発根にはおよそ1ヶ月かかります。
- しっかりと根が出るまで親株に任せる
発根後も3~4週間は親株に栄養を取らせ、根がしっかり育つのを待ちます。この間、適度な追肥(月1回程度)を行います。
プロのアドバイス:実のつきが良かった株を選ぶことが大切
「収穫したいちごの実つきが良かった株のランナーから苗を作ると、翌年の収量も期待できます。一方、実つきが悪かった株から作った苗は、次も期待できません。良い株の芽を選ぶことが何より重要なのです。」
いちご栽培後の畑の手入れ
- 株を掘り起こし、根を除去する
- マルチを外し、害虫や卵の有無を確認する
- 次の作物のために土壌改良をする(堆肥、肥料の施用)
株の根に異常(根腐れ病など)がないか確認し、必要に応じて防除対策を立てましょう。
害虫と病気への対策
6月は梅雨の時期でもあり、いちごは病気や害虫の発生に注意が必要です。
主な害虫とその対策
- アブラムシ: 農薬散布か手で潰して駆除する
- ハダニ: 0.3mmの小さな害虫で農薬が効く
- ナメクジ:「ナメトール」などの農薬で防除
主な病気とその対策
- 灰色かび病: 収穫の遅れが原因。マルチングで予防
- うどんこ病: 予防剤や薬剤散布で対処
株の更新と追肥のタイミング
翌年の豊作を狙うなら、秋に株を全て新しくする「株の更新」を行うのがおすすめです。
古い株は実つきが悪くなるためです。更新時期の目安は、花芽分化が始まる9、10月ごろ。
一方、追肥は成長の有無に合わせて行います。
成長期の4~8月は2週間に1回、休眠期の1~3月は1ヶ月に1回程度の間隔がベストです。
プロのアドバイス: いちごは連作障害に注意
「いちごはバラ科の植物で、連作障害が起きやすい作物です。同じ場所で連年栽培を続けると土壌が傷み、徐々に収量が低下します。3年に1度は別の場所に株を移すことをおすすめします。」
まとめ
いちご栽培で豊作を望むなら、6月は欠かせない重要な時期です。
収穫の終盤対策、ランナーからの苗作り、病害虫対策を行うことで、翌年の豊作の基礎を築くことができます。
特に、実のよく付いた株を選んでランナーから苗を作ることが大切なポイントです。
ランナーの芽の植え付けから発根まで丁寧に作業を行えば、秋までに十分な苗が育つはずです。
苗作りと並行して害虫や病気の防除にも気を配り、株を健康に保ちましょう。
そうすれば、甘くてジューシーないちごが収穫できる喜びを味わえることでしょう。
プロの農家さんが教えてくれた作業の極意を、ぜひ実践してみてください。