トマト農家の悩み、オオタバコガとは?
トマト栽培をしている方なら、一度は耳にしたことがあるであろう「オオタバコガ」。
この害虫は、トマトをはじめとするナス科作物に甚大な被害をもたらすことで知られています。
オオオナモミの棘を食べてる😳オオタバコガの幼虫。 pic.twitter.com/tKEIDwXbb1
— まみのすけ🐛 (@montachun) October 11, 2024
特に、幼虫が果実内部に侵入し、商品価値を一瞬で失わせるその被害は深刻です。
では、この厄介な害虫から大切な作物を守るにはどうすれば良いのでしょうか?
この記事では、オオタバコガの基本的な生態から効果的な防除方法までを詳しく解説し、さらに筆者の見解も交えながら「実践的な対策」をお伝えします。
オオタバコガの基本情報とその被害
オオタバコガとは?
オオタバコガ(学名:Helicoverpa armigera)は、主にナス科やマメ科の作物を食害する害虫です。
成虫は体長約15~20mmの蛾で、夜行性。卵から孵化した幼虫が果実や葉に侵入し、大きな被害をもたらします。
特にトマトでは、果実内部に入り込むため外見からは被害が分かりづらく、気づいたときには手遅れになっていることが多いのです。
20240923🏡ミニトマト🍅に穴
— ナナン (@ginnanan) September 22, 2024
最近、ミニトマトに穴、《オオタバコガ》の幼虫の仕業らしい🐛
🌱タキイ種苗株式会社:オオタバコガ🐛説明引用 ✍️『蛾の仲間。幼虫が食害する』『結球に直径3~6ミリの穴をあけて中に潜り込み、結球内部を食べる』『春~秋に3~4回発生し、8~9月に多発する』🍅 pic.twitter.com/y9k7RegaI5
被害の特徴
- 幼虫が果実内部に侵入し、5mm程度の小さな穴を開ける。
- 食害された果実は腐敗し、市場価値がゼロになる。
- 成虫1匹あたり約500個もの卵を産むため、短期間で爆発的に増殖する。
これらの被害を放置すると、収穫量が大幅に減少するだけでなく、防除コストも増加します。
特に近年は温暖化の影響で発生時期が早まり、防除がますます難しくなっています。
効果的な防除方法:3つのアプローチ
物理的防除 – 侵入させない工夫
物理的防除とは、物理的な手段で害虫の侵入や繁殖を防ぐ方法です。
以下の対策が有効です:
▶防虫ネットの設置
施設栽培の場合、防虫ネット(目合い4mm以下)を天窓やサイド、入り口などに設置することで成虫の侵入を防ぎます。
特に発生ピークとなる6月~9月には必須と言える対策です。
▶黄色灯の活用
夜行性である成虫は光に敏感です。
黄色灯(波長560~590nm)は成虫の行動を抑制する効果があり、夜間に設置することで産卵活動を減少させることができます。
ただし、この方法は補助的な対策として利用しましょう。
▶耕起による蛹(さなぎ)の駆除
冬季や栽培終了後に土壌を耕起することで、土中に潜む蛹を駆除できます。
この方法は翌年の発生量を抑えるためにも非常に重要です。
農薬による防除:タイミングと種類が鍵
農薬は即効性が高く、防除効果も期待できます。
しかし、使用には注意点があります。
▶若齢幼虫への散布
農薬は幼虫が若齢(孵化後1~2日)の段階で散布することが最も効果的です。
この時期は幼虫がまだ小さく、薬剤への抵抗力も低いため効率的に駆除できます。
▶薬剤ローテーション
同じ系統の農薬を繰り返し使用すると抵抗性(耐性)がつく恐れがあります。
そのため、有効成分が異なる薬剤(例:BT剤やIGR剤)をローテーションで使用することが推奨されます。
▶天敵微生物の利用
微生物農薬(例:クルスターキ系BT剤)は環境負荷が低く、安全性も高いため注目されています。
ただし即効性には欠けるため、他の対策と組み合わせて使用しましょう。
日々の管理と早期発見
最も重要なのは日々の観察と早期対応です。以下のポイントを押さえておきましょう:
- 定期的な圃場巡回
トマトや周辺植物を定期的に観察し、卵や幼虫を早期発見します。 - 被害果実の処分
被害果実は放置せず、その場で潰して焼却処分することで二次被害を防ぎます。 - 適切な施肥管理
窒素過多になると葉や果実が柔らかくなり、幼虫が好む環境となります。肥料設計にも注意しましょう。
地域ごとの特性と注意点
地域によってオオタバコガの発生時期や量にはばらつきがあります。
例えば、日本では九州や四国など温暖地域で発生量が多い傾向があります。
そのため、防除スケジュールも地域ごとに調整する必要があります。
また、防除指導機関や地元農協から最新情報を収集し、それぞれの地域特性に合った対策を講じましょう。
まとめ – 複合的な対策で被害ゼロへ!
オオタバコガによる被害を防ぐためには、「物理的防除」「農薬による防除」「日々の管理」という3つのアプローチを組み合わせた複合的な対策が必要不可欠です。
一つ一つは小さな取り組みでも、それらを継続して実施することで大きな成果につながります。
また、防除にはタイミングと計画性が重要です。
「いつ」「どこで」「どんな方法」で対応するかを明確にし、防除計画を立てましょう。
そして何よりも、「早期発見・早期対応」が成功への鍵です!
トマト栽培は手間暇かかる作業ですが、その分収穫時の喜びもひとしおです。
今回ご紹介した方法で、大切な作物を守り、美味しいトマト作りに挑戦してみてください!