土壌と植え付けの準備

土壌の改良

土壌には有機物を豊富にし、排水性と保水性を良くするために腐葉土や堆肥を混ぜます。適正なpHに調整するため、石灰を混入することも忘れないでください。ナスの適正pHは6.0~6.8です。

土壌の酸度を測るには土壌酸度計を使用します。

シンワ測定(Shinwa Sokutei) デジタル土壌酸度計 A-2

・土壌酸度・土壌温度・土壌塩分濃度・土壌水分・照度の簡易測定ができます。
・土壌酸度12段階:pH3.5~9.0(最小表示pH0.5、精度±pH0.5)

苗の健康状態の確認

ナスの苗を植える前には、健康状態を細かくチェックすることが肝心です。病気や害虫に侵されていないか、しっかりと成長しているかなど、将来の成長に大きく影響する要因を確認しましょう。

根系のチェック

まず根を見ます。根は白または淡い色合いが望ましく、ねじれたり絡まったりしていないことが重要です。

葉と茎の健康

次は地上部です。葉は鮮やかな緑色をしていて、茶色かったり、斑点があったりしないことを確かめます。茎もしっかりしており、虫食いの痕がない状態が理想的です。

肥料の施用

肥料はナスの苗の栄養源となり、健やかな成長を促進します。適切なタイミングと方法で肥料を与えることが、豊かな収穫への鍵です。植え付けの2〜3週間前に施すことで、土壌が肥料を吸収し、苗に最良の環境を提供します。

有機肥料を使うメリット

有機肥料は土壌を改良し、長期的な栄養供給を可能にします。微生物の活動を促進し、根の健康な成長をサポート。自然な方法で育つナスの苗は、より強く、病気にも強くなります。

化学肥料

化学肥料は即効性があり、栄養素の適切なバランスが重要です。過剰な肥料は根を傷める原因にもなるため、推奨される量を守り、植え付け前に適量を施しましょう。1㎡当たり成分量で、チッソ、リン酸、カリとも20~30gが適量です。

マルチング

マルチの選定

マルチには有機質マルチ(わら、落ち葉、木のチップなど)とプラスチックフィルムなどの無機質マルチがあります。ナスの育成には、湿度を保ちつつ土壌を保温し病害虫を防ぐ効果のある黒いプラスチックフィルムが適しています。

また、生物分解性マルチは、使用後に土に自然に分解されるため、環境にやさしく、後片付けが不要という大きな利点があります。

マルチの効果

マルチは土壌の水分を保持し、雑草の生育を抑える効果があります。さらに、土壌温度を安定させて生育を促進し、害虫の防止にもなります。マルチング後は、ナスの苗の周囲に適切に配置し、風で飛ばないように固定します。

以上の点に気をつけて準備を行うことで、ナスの苗は順調に成長していきます。定期的な水やりや肥料の追加など、育成中の世話も忘れずに行いましょう。

生分解性 マルチフィルム 園芸用 黒マルチ ビオトップ 0.018mm×95×50m

自然素材のデンプンと生分解性樹脂を使用。
グリーンプラマーク認定。

適切な植え付け時期の選定

最終霜のチェック

ナスは霜に非常に弱いので、地域の最終霜予測日を確認し、それが過ぎてから植え付けを行います。

気候条件の確認

ナスは暖かい気候を好むので、温度が安定し始める春から初夏にかけての植え付けが理想的です。

日当たりと通気性の確保

育成する苗にとって、良好な日当たりと通気性は欠かせません。これらを確保することが、苗の健康と成長に直結します。

適切な場所の選定

ナスは日光を愛する植物です。光豊かで風通しの良い場所を選んで、苗がぐんぐんと育つように配慮しましょう。

適切な株間

植える際は苗同士の距離を十分に確保します。70cm程度あれば十分でしょう。株間を十分取ることにより根の絡み合いや病気の拡散を防ぎ、健康な成長を促進します。

苗の植え付け

苗の植え付けは、ナスを育てる過程で最も重要なステップの一つです。正しい方法で行うことで、根の健康を保ち、苗がしっかりと定着し、順調に成長する土台を作ります。根の扱いに注意し、適切な深さに植えることが肝心です。

植え付ける際には、苗を傷つけないようにやさしく取り扱います。根が十分に広がるように、根鉢を優しくほぐし、穴に置きます。その際、苗の根元が土の表面よりも少し高くなるように調整し、根元に水が溜まらないように配慮しましょう。

接ぎ木苗の場合は、深く植えすぎて接合部を土に埋まらないようにします。

植え付けた後は、土を戻して根周りを覆いますが、根に空気が行き渡るように軽く押し固める程度にし、土をかけ終わったら、十分な水やりをしましょう。

仮支柱

苗が十分に成長し自立できるまで、根元または近くの土に差し込む形で設置します。植物に直接結び付けるひもは、材質が柔らかく、植物を痛めないものを使い、締め付けないよう8の字結びにします。

水やりのスケジュール立て

植物の成長にとって水は不可欠ですが、水やりの過不足はナスの苗にとって命取りになります。適切な水やりのスケジュールを立てて、健康的な生育を促進しましょう。土壌の乾燥状態と気象条件を観察し、それに基づいた水やり計画を立てることが大切です。

水分量の見極め

水やりの量は、土壌の湿り具合と苗のサイズに応じて変わります。粘土質土壌では控えめに、葉が多ければ多めにと、植物の状態に合わせて調節してください。

水やりのタイミング

水やりのタイミングは、早朝または夕方が適しています。この時間帯は水分が蒸発しにくく、苗がしっかりと水を吸収し、強い日差しによるストレスも軽減されます。