2年ほど収穫せずに株を育てたアスパラガスが赤い実をつけました。来春の種まき用に採取したいと思います。

そこで、アスパラガスの採取と保存について調べてみました。

採種と保存のテクニック

採種方法

準備するもの

  • 紙袋

手順

  1. 実が完全に熟して赤くなったアスパラガスの種を取ります。
  2. 種を紙袋に入れて、風通しの良い場所で乾燥させます。
  3. 乾燥したら、種子がはじけて袋の中に落ちているはずです。弾けていないものは種から取り出します。

コツ

  • 実が完全に熟して赤くなったタイミングで収穫する。未熟な実では種ができていなません
  • 実をつぶさずに丁寧に種を取り出す。指でつまんで外側をむく。
  • 色や形が揃った綺麗な種を選んで採取する。異常な種は避ける。
  • 採った種は速やかに乾燥させる。カビ等が生えるのを防ぐ。
  • 採種数は次年度の栽培予定数以上に取っておく。
  • アスパラガスは種をつけるには3年以上の栽培年数が必要です。

丁寧な採取で、質の高いアスパラガスの種を手に入れられます。大切に保存しましょう。

保存方法

準備するもの

  • 紙袋
  • 乾燥剤
  • 密封容器

手順

  1. 乾燥させた種を紙袋に入れます。
  2. 乾燥剤を加えて、種を湿気から守ります。
  3. 密封容器に入れて、冷暗所で保存します。

種を乾燥させる際は、風通しの良い日陰で、直射日光が当たらないように注意します。

乾燥した種は、密閉できるガラス瓶や布袋に入れて冷暗所に保管します。温度が一定で湿気が少ない場所を選ぶと、種の発芽率が下がらずに保存できます。定期的に容器を開けて通気するのもポイントです。

保存期間は1年程度が目安ですが、条件が良ければ2-3年は保存できるでしょう。古くなった種では発芽率が落ちるので、新しい種を使うことをおすすめします。

コツ

  • 乾燥した種をガラス瓶や布袋に入れ、密封する。空気と光を遮断
  • 乾燥剤は、シリカゲルや乾燥剤シートなど、市販のものを使います。
  • 保存場所は温度変化が少なく湿気のない冷暗所を選ぶ。
  • 定期的に容器を開けて種を入れ替え、通気するのが好ましい。
  • 保存期間は1-2年が目安。古い種の発芽率は下がる。
  • 種に変化がみられたらただちに廃棄。
  • 記録を付けておき、優れた株の種と区別できるようにする。

採種しました。

株が大きくて太いものからできるだけ大粒の実を採取しました。まだ柔らかいので、袋に入れて乾燥させます。

霜に当たったせいか、黒ずんでいる実もありました。

アスパラガスの種から新品種が誕生する?

アスパラガスは他品種と交配することができできるそうです。

アスパラガスは雌雄異株で、風や昆虫によって他家受粉します。また、アスパラガスと同属の日本固有種でアスパラガスの近縁野生種ハマタマボウキとも交雑が可能なのだそうです。

アスパラガスの品種改良では、他品種との交配によって、収量や品質、耐病性などの特性を向上させることが目的です。例えば、ウェルカムATはウェルカムと別の品種を交配して作られた全雄系のF1品種で、多収性や品質が高く、生育の揃いもよい品種です。また、あすたまJはアスパラガスとハマタマボウキの種間交雑によって育成された品種で、茎枯病に対する高い抵抗性を持っているそうです。

種どりしたアスパラガスが新品種の種の可能性もありますね。

アスパラガスの固定種について

アスパラガスの固定種とは、遺伝的に安定した品種で、種子から栽培しても親と同じ特性を持つものです。

アスパラガスの固定種は、一代交配種(F1品種)に比べて、収量や品質、耐病性などの点で劣る場合がありますが、種子の価格が安く、自家採種も可能です。

アスパラガスの固定種の例としては、メリーワシントンやパープルタワーなどがあります。メリーワシントンは、グリーンアスパラガスの代表的な固定種で、草勢や耐病性に優れています。パープルタワーは、赤紫色のアスパラガスで、茎が太くて柔らかく、甘みが強いです。

アスパラガスの固定種の栽培方法は、一代交配種(F1品種)と同じですが、種子の発芽率が低い場合があるので、播種前に水に浸けておくとよいでしょう。また、アスパラガスは多年生作物なので、植え付け前に耕土の深さや排水性、酸度などを確認してください。

アスパラガスの種 メリーワシントン

多収種のアスパラガスで栽培が容易。
茎が太くそろった良質なものがたくさんとれる。グリーン、ホワイトともに適しており、栽培適地は広い。
排水性の良い肥沃な土で栽培し、1坪あたり15株程度が適当。夏は株の養成に努め、暖地では2年目から8年間、冷涼地では3年目から15年間収穫できる。

パープルタワーアスパラガス

パープルタワーアスパラガスは、紫色のアスパラガスの品種で、甘みや香りが強く、茎が太くて柔らかいのが特徴です。旬の時期は5月から6月で、主な生産地は北海道や長野県です。スーパーではあまり見かけませんが、ネット通販で1kg4,000円から5,000円で購入できます。

アスパラガスの発芽から移植までの管理のポイント

アスパラガスの種を採種したら、春に蒔いてみましょう。

発芽促進のポイント

  • 種まき前に種子をぬるま湯に2日ほど浸すことで発芽を促進できる
  • 発芽には25~30℃の地温が適しており、発芽後は18~23℃の気温で管理する
  • 種まきは3月下旬から4月上旬が適期で、深さ2~3cmに播種する

種子は乾燥状態では発芽することができません。適量の水分を吸収することで発芽が促進されます。一方で、水分が過剰だと酸素の供給が妨げられ、発芽が阻害されてしまいます。

ポットに蒔く

ポットに種を3粒ほど蒔き、5mm程度覆土します。新聞紙をかけて乾燥を防ぎます。

ポットの土は種まき専用培土を使用します。種まき専用の培土は粒子が細かく発芽に必要な肥料成分がバランスよく配合されています。また、pHも6.5の中性に調整されています。有機物も含まれているため、発芽や生育初期に適した水分保持ができます。

発芽後

草丈4~5cmになったら強い芽を1本残すように間引きます。育苗中は水やりを十分に行い、本葉3~4枚、草丈15cm程度の大きさになったら定植の適期となります。