畑を始めると直面する「水問題」

今年から野菜栽培を始める農業者の皆さん、畑作業は楽しいですが、意外と気づかない問題に直面することもありますよね。

その一つが「水の確保」。畑の周囲に川も池も井戸もない場合、どうやって水を確保すればいいのでしょうか?

今回は、300坪の畑で野菜栽培を始めた方の悩みをもとに、水確保の方法やコストを抑えたアイデアについて徹底解説します。

初心者でも実践できる方法を具体的な数字や手順を交えて紹介するので、ぜひ参考にしてください!

野菜栽培に必要な水量はどれくらい?

まずは、野菜栽培に必要な水量について知ることが大切です。

野菜は成長期や夏場に特に多くの水を必要とします。

具体的には以下の通りです。

1㎡あたり1日3〜5リットルが目安

  • 野菜栽培では、1㎡あたり1日に約3〜5リットルの水が必要です。
  • 300坪(約990㎡)の場合、1日あたり約3,000〜5,000リットル(3〜5トン)の水が必要になります。

季節による水量の変化

  • 春・秋:比較的涼しい時期は蒸発量が少なく、水やり頻度も抑えられます。
  • :気温が高く蒸発量が増えるため、水やり頻度が増加。特に乾燥しやすい地域では倍以上の水を準備する必要があります。

つまり、300坪の畑では年間を通じて数十トン規模の水を使うことになるため、効率的な貯水方法を考えることが重要です。

課題:川も池も井戸もない場合、どうする?

畑周囲に自然な水源がない場合、自分で貯水設備を作る必要があります。

他の農家ではドラム缶や風呂桶などを利用している例が多いですが、「廃棄物利用は難しいし嫌だ」という方には別の方法があります。

それが「ブルーシートによる簡易貯水池」です。

解決策:ブルーシートで貯水池を作ろう!

ブルーシート貯水池とは?

ブルーシート貯水池は、地面に穴を掘り、その中に防水性の高いブルーシートを敷いて簡易的な貯水池を作る方法です。

コストが低く、初心者でも手軽に始められる点が魅力です。

具体的な設計例

例えば、1トン(1,000リットル)の水を貯めたい場合:

  • 深さ0.5m × 幅2m × 長さ1m程度の穴を掘ります。
  • これに合うサイズのブルーシート(例えば2m × 3m以上)を用意します。

さらに、300坪分(約3〜5トン)の貯水量を確保したい場合:

  • 深さ0.7m × 幅3m × 長さ2.5m程度の穴を掘り、それに合うサイズ(約4m × 6m以上)のブルーシートを選びます。

作成手順

  1. 場所選び
    畑周辺で低地や日陰になる場所がおすすめ。雨水が自然に集まりやすい地形ならさらに効果的です。
  2. 穴掘り
    スコップやショベルで指定サイズの穴を掘ります。深さは最低でも0.5m以上確保しましょう。
  3. ブルーシート設置
    掘った穴に厚手で耐久性のあるブルーシートを敷きます。端は石や土砂でしっかり固定して漏れ防止。
  4. 雨水やポンプで給水
    雨の日には自然に溜まる仕組みを作りつつ、ポンプで汲み上げた井戸や外部から運び込んだ水も利用可能。

注意点

  • シートは紫外線による劣化が早いため、遮光ネットなどで保護すると長持ちします。
  • 貯めた水は定期的に清掃し、水質悪化(藻類発生など)を防ぐこと。

ブルーシートの耐久性

ブルーシートで作った貯水池の耐久性は、使用環境や材質によって異なります。

通常のブルーシート(#3000程度)の場合

屋外で直射日光にさらされる環境では、約9〜12ヶ月程度の耐久性があります。

水中にある場合は、より長持ちする可能性がありますが、定期的な点検と交換が必要です。

UV加工された特殊なブルーシート(UVシート)の場合

耐候性が高く、約1〜5年の耐久性があります5

例えば、「エコ超厚手UVシート #5000」は通常の#3000ブルーシートに比べて耐候性を持ち、約約4〜5年の耐用年数が目安とされています。

引用元:Amazon

トラスコ中山(TRUSCO) エコ超厚手UVシート#5000

専門的な遮水シートの場合

農業用貯水池などで使用される高性能な遮水シートは、水中であれば50年経過後も初期性能の約8割を保持することが確認されています。

ただし、ブルーシートは紫外線による劣化が早いため、屋外での使用では定期的な点検と交換が必要です。

また、使用環境や気候条件によって耐久性は大きく変わるため、これらの数値はあくまで目安として考えるべきです。

その他の選択肢

ブルーシート以外にも、水確保方法はいくつかあります。

以下はその一例です。

雨樋+タンク設置

畑周囲に雨樋とタンク(容量500L〜2,000L程度)を設置し、雨の日には効率よく雨水を集める仕組みです。

初期費用はかかりますが、省スペースで便利です。

簡易式農業用タンク

ホームセンターやネット通販では農業用簡易タンク(容量数百リットル〜数千リットル)が販売されています。

移動可能なタイプもあり便利ですが、コスト面ではブルーシートより高くなる場合があります。

地下貯水槽

本格的な農業では地下貯水槽(コンクリート製など)も利用されます。

ただし初期費用と施工費用が高額になるため、小規模農家には向きません。

まとめ – 自分に合った方法で「畑ライフ」を楽しもう!

300坪という広い畑で野菜栽培を始める際、水の確保は非常に重要な課題です。

川や井戸がない場所でも、自分で工夫すれば十分対応可能です。

今回紹介したブルーシート貯水池は低コストで簡単に作れるため、初心者にもおすすめ。

さらに雨樋や簡易タンクなどと組み合わせれば効率的な運用も可能になります。

最初は試行錯誤するかもしれませんが、自分だけの「畑ライフ」を楽しむためにはこうした工夫もまた醍醐味です。

ぜひこの記事を参考にして、水問題をクリアしながら豊かな収穫につなげてください!