「ぽろたん」の特徴は以下の通りです。
- 渋皮が簡単にむけるという特性を持つクリの新品種で、2007年に品種登録された。
- 果実は大きくて甘く、糖度は15度以上、渋みはほとんどない。
- 収穫期は9月下旬から10月上旬で、収量は慣行栽培のクリと同程度。
- 受粉樹としては、「利平栗」と「美玖里(みくり)」が適する。
- 加工・調理の簡素化が可能であり、消費拡大の切り札となる有望品種として期待されている。
農研機構が刊行した「ぽろたん」の収穫・利用ガイド
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/porotan_guide_3.pdf
- 「ぽろたん」とは、渋皮が簡単にむけるという特性を持つクリの新品種で、2007年に品種登録された。
- 「ぽろたん」の特性や栽培方法、収穫後の取り扱いや加工方法、病害虫や生理障害の対策、産地化や6次産業化の事例などについて、詳しく説明されている。
- 「ぽろたん」のほかに、「ぽろすけ」という渋皮がむけやすいクリの新品種も紹介されている。「ぽろすけ」は、「ぽろたん」よりも1週間程度早生で、2016年に品種登録出願公表された。
- 「ぽろたん」や「ぽろすけ」は、加工・調理の簡素化が可能であり、消費拡大の切り札となる有望品種として期待されている。
クリ「ぽろたん」の受粉樹には、「利平栗」、「美玖里(みくり)」が適する(農業研究センター 果樹研究所落葉果樹研究室)
https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/101950.pdf
- 熊本県農林水産部が発行したPDFファイルは、渋皮が簡単にむけるクリの新品種「ぽろたん」の受粉樹についての研究報告である。
- 「ぽろたん」の受粉樹として適する品種は、「利平栗」と「美玖里(みくり)」であることが、雄花開花期と受粉効率の関係から明らかにされた。
- 「ぽろたん」と受粉樹の植栽方法や注意点について、具体的なデータとともに紹介されている。
農研機構が開発したクリの新品種「ぽろたん」と「ぽろすけ」に関する収穫・利用ガイド
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/porotan_guide_3.pdf
- 「ぽろたん」と「ぽろすけ」は、渋皮が簡単にむけるという特徴を持つニホングリの品種で、加工・調理の簡素化が可能です。
- 「ぽろたん」は9月上旬、「ぽろすけ」は8月下旬~9月上旬に収穫できます。収量はいずれも「丹沢」と同程度で、裂果や双子果の発生は少ないです。
- 収穫後は、果実中心部に傷を入れて加熱することで渋皮がぽろっとむけます。選果・出荷時には、外観や重量で品種を識別する方法が紹介されています。
- 貯蔵には、低温貯蔵や乾燥貯蔵が適しています。貯蔵中に発生する病害虫や生理障害に対する防除対策も示されています。
- 加工には、焼き栗や栗ご飯、栗きんとん、栗羊羹などのレシピが掲載されています。加工品の品質や保存性に影響する要因も解説されています。
- 「ぽろたん」の産地化や6次産業化に取り組んでいる全国のクリ産地の事例も紹介されています。日高市、埼玉県皆野町、埼玉県東松山市、岐阜県東美濃クリ産地、鳥取県琴浦町などの取り組みが紹介されています。
せん定が簡単で早期成園化が可能なクリ「ぽろたん」の主幹形密植栽培法
https://www.jfc.go.jp/n/finance/keiei/pdf/2187.pdf
- 主幹形密植栽培法とは、クリ「ぽろたん」の特性を活かして、樹間隔を狭めて植え、主幹の先端をせん定して側枝を更新する方法です。
- この方法の利点は、初心者や高齢者でも簡単に管理できること、早期に収量が出ること、収量が高く粒が大きいことです。
- 植付け2年目と主幹先端のせん定方法、側枝の更新サイクル、主幹形密植栽培法と慣行方法の収量の年次変化を比較、新整枝法と慣行法の樹高に対するせん定作業時間の比較の具体的な手順や効果を示しています。
くり 石鎚、ぽろたん 目標収量:300kg/10a 栽培の要点 / JAグループ石川
このPDFファイルは、くりの栽培に関する手引きです。くりの品種、植え付け、受粉、収穫、整枝剪定、施肥、病害虫防除などの栽培の要点を詳しく説明しています。以下に要約を示します。
https://www.is-ja.jp/noto/eino/pdf/07.pdf
- 品種: 早生、中生、晩生の3種類に分けられる。奨励品種は丹沢、伊吹、筑波、石鎚など。品種構成は丹沢50%、伊吹10%、筑波20%、石鎚20%とする。
- 植え付け: 幅80~100cm、深さ50~60cmの溝を掘り、埋め戻し、その上に苗木を植え付ける。植栽距離は5.0×5.0mの正方形植えとする(40本/10a)。植付け直後に高度化成肥料200g施肥する。
- 受粉と生理落果: 自家受粉性が低いため、開花期の合致した品種を混植する。受粉樹の距離は5~10mで効果が安定する。生理落果の原因は栄養状態の悪化、日照不足、着果過多、不受精など。防止方法は適正着果と日照量の確保、剪定時における適正結果母枝本数(25~30本を目安)の維持と低樹高化による受光体勢の改善など。
- 収穫: 毬が自然に落下する時期が完熟期であるが、品種によっては落果状況が異なる。収穫期の気温、果実の汚れ防止、粗選果の方法などに注意する。
- 整枝剪定: くりは陽光樹であり、日当たりの悪い個所は枝が枯れ込みやすい。果実の結果習性は日当たりのよい、充実した結果母枝の先端部分に花芽を形成する。変則主幹形からの低樹高仕立法を採用し、主枝候補枝は分岐角度の広い枝を選び、主枝候補の間隔は車枝とならないよう30cm以上あける。主枝候補枝が多くなり樹冠内部が混み合ってくるため、枝の方向、角度、上下の間隔が適正なものを選び主枝3~5本を育成する。心抜きは樹高が4~5mとなり、主枝がほぼ決定した段階で行う。
- 施肥: 3~4年生と7年生以上で施肥基準が異なる。肥料名と成分量、施肥時期と回数を参照する。
- 病害虫防除: カイガラムシ類、クリイガアブラムシ、モモノゴマダラノメイガ、クスサン、実炭疽病、クリシギゾウムシ、カミキリムシ類などの対象病害虫と、それぞれに効果的な薬剤名、希釈倍率、収穫前日数、使用回数、備考などを確認する。
クリ「ぽろたん」のジョイント栽培マニュアル 早期成園化・低コストの樹形管理と防除技術 / 復興庁・農林水産省
本マニュアルは、農研機構と宮城県農業・園芸総合研究所が共同で行った、被災地の早期復興に資する果樹生産・利用技術の実証研究において得られた試験結果をもとに作成されたものです。
クリ「ぽろたん」は、早生で病害虫に強いことから、被災地の復興果樹として有望な品種です。しかし、通常の栽培では、樹形の整備や防除に手間とコストがかかるため、早期成園化と低コスト化が課題でした。
本マニュアルでは、これらの課題を解決するために、クリ「ぽろたん」のジョイント栽培を提案しています。ジョイント栽培とは、2本の苗を1本に結合して栽培する方法です。この方法を採用することで、以下のメリットが得られます。
- 早期成園化:従来の栽培方法に比べて、収穫開始までの期間を約2年短縮できる。
- 低コスト化:樹形の整備や防除にかかる手間とコストを削減できる。
本マニュアルでは、ジョイント栽培の具体的な方法や注意点について、詳しく解説しています。また、ジョイント栽培の導入に際しての支援制度についても紹介しています。
具体的な方法としては、以下のとおりです。
- 苗木の選定:苗木は、2本とも同じ品種で、生育のバランスが取れているものを選ぶ。
- 接合:接合時期は、苗木の苗高が約30cmになった頃が適期。接合には、接合機や接合テープなどを使用する。
- 樹形の整備:接合後、樹形を整える。具体的には、主枝を2本に伸ばし、側枝を間引く。
- 防除:ジョイント栽培では、病害虫の被害を受けやすいため、防除を徹底する。
ジョイント栽培は、クリ「ぽろたん」の早期成園化と低コスト化を実現する有効な方法です。本マニュアルを参考に、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
クリ「ぽろたん」の大果・安定生産のためのせん定指標
クリの新品種「ぽろたん」の大果・安定生産のためのせん定指標を紹介した普及カードです。せん定とは、樹形や枝の質を整えるために行う剪定のことです。この文章の要約は以下の通りです。
https://www.k-agri.rd.pref.gifu.lg.jp/hukyu/23_hukyu/porotan_FukyuCard.pdf
- 「ぽろたん」は、大果で食味が良く、渋皮がむきやすいクリの品種で、県内産地でも急速に導入が進んでいる。
- せん定の目的は、高品質な果実を安定生産するために、結果母枝の種類、資質、密度を適切に調整することである。
- せん定の指標は、基部径が7mm以上、先端部径が4mm以上の前年結果枝を主体に結果母枝として使用し、樹冠占有面積1㎡あたり6本程度の結果母枝密度で残すことである。
- せん定の方法は、切り戻し、誘引、予備枝の処理などを行うことである。
- せん定の効果は、収量、果重、2L以上果数、着毬率などが向上することである。
このPDFは、岐阜県農業技術研究所が作成したもので、岐阜方式低樹高栽培法(短幹変則主幹形整枝)におけるせん定技術を紹介しています。クリの栽培に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
ぽろたんの苗木
植え付けのポイント
- クリは排水が良い場所に植える。土質は問わない。
- 植え付けの方法は、大きな穴を掘って堆肥やヨウリンを混ぜた土で苗木を植え、支柱で支える。肥料が根に触れないようにする。
- 毎年冬に根の周りに溝を掘って乾燥鶏ふんや油かすなどを埋める。